じぃの口癖
段々じぃばぁの世話も慣れてきて
スムーズに事を回せるようになった頃
じぃは
「りんは命の恩人だ」
と悲しそうに言ってきた
初めて言われた時は
そんな大袈裟なとも思ったが
グッとくるものがあった
ありがとうと言われる度
心が満たさる日々だった
うちのじぃばぁは誰かに何かを頼むことを拒み、誰かが手を差し伸べるまで待つ習性がある
だって本当なら
同じ敷地内に住んでいるちさや叔父に
頼み事を言えばいい話
それがいつの間にか
色々私に頼み事をするようになった
自分が事情があって頼み事ができない時
ちさに言うんだよって言ったところで
みんな仕事や何やらで忙しいから
頼むのも頼めないんだよ
って
家族なのに遠慮して中々言えないようだ
元々家族仲がそんなによくない事は
昔から知っていたから
強く責める事はできなかった
にしてもあの頑固なじぃから
あんな言葉が出るなんて思いもしなかった
それからというもの
じぃ宅に行くたびにに命の恩人だと言っていた